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ムクナ豆とはどのような豆なのでしょうか

 

つるが数メートルにも伸びる熱帯の植物

 

ムクナ豆は、マメ亜科トビカズラ属に分類されるつる性の植物“ムクナ”から収穫される豆のことを指します。
ムクナという名前は学名に基づいており、ブラジルでの名称「Mucuna」からなります。
ムクナの原産はインド北部タライ平原からヒマラヤのネパール辺りまでで、現在では東南アジア、インド、中国南部、南アメリカ、北アメリカ南部、アフリカでの分布が確認されています。

ムクナは1年草で豆のみを食用とします。日本で露地栽培するのであれば、関東以南に限定され、寒い地域はある程度育っても実をつけない場合があります。しかし、特に温暖な気候である沖縄の場合は1年に2回収穫が可能です。

一般的には、春に種を植えます。つるは数メートルも伸び、他のものに絡みながら生長します。地べたに這わせて育てると、ほかに雑草が育ちにくく、土壌の質が守られることから、そのような方法で栽培される場合もあるようです。
一度その姿を見れば、生命力あふれる元気な植物であると感じられるでしょう。

夏になると紫色の花がすずなりに咲きます。その後、秋にかけて鞘(さや)が少しずつ育ち、鞘が黄色くなり始めるとムクナ豆が熟したサインとなります。

 

 

環境にやさしい “+ムクナ農法”

 

ムクナの最大の特徴は、Lドーパという成分が非常に多く含まれていることです。

豆はもちろん、葉や茎、根にもLドーパは含まれていて、キク科やナデシコ科などの雑草の防除に利用されています。
トウモロコシやサトウキビなどの生育には阻害しないことが研究結果で明らかになっており、海外では混植する栽培方法がとられる場合もあります。

また、土壌に入ったLドーパは分解されてしまいます。翌年にほかの植物を栽培しても影響はありません。

土壌が硬くなった荒廃地でムクナを1年間栽培すると、土がほぐれて農地として利用できるとの報告もあり、世界中で試されています。元々、ムクナは農薬を使わなくても生長する植物です。ですから、耕作地が農薬に汚染されることはなく、自然に近い状態の農地ができるわけです。

そういった理由から、自然循環型農業として利用できる植物であることが注目されていますし、現にムクナを取り入れた農業も世界各国で増えています。

併せて、最近よく耳にするようになった「持続可能な開発目標(SDGs)」の項目の達成にもつながります。

ムクナの栽培は、地球環境の保全と自然の共存が実現する観点からも、今後期待される取り組みです。

 

 

非常に長い歴史をもつムクナ豆

 

インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」にも登場

 

ムクナ豆は世界で最も歴史の古い医療体系一つである、インドの「アーユルヴェーダ」にも記述が残っています。「アーユルヴェーダ」の歴史は3000年前とも5000年前ともいわれています。

アーユルヴェーダの中では、ムクナ豆を「カピカチュ(Kapikachhu)」と呼び、神経と生殖器官に対する強い強壮剤として使っています。 ほかにも、ドーパミンが不足することで発症するパーキンソン病やむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の治療などにも用いられます。
これらは、ムクナ豆に含まれるLドーパの特性を利用した治療法です。
現在、Lドーパを主成分とする薬剤して存在しています。「エルドパ」「レボドパ」などと呼ばれ、パーキンソン病治療のとして使われています。
よって、インドの人々は数千年も前から伝統的にムクナ豆による健康管理を行っていたといえます。
また、ムクナ豆は南米の民間薬にも使われています。

 

 

アーユルヴェーダも含めると、古くから伝わるムクナ豆の効果としては、駆虫剤(腸の虫下し)、赤痢、下痢、腸内発酵、蛇咬傷、性の減退、咳、結核、インポテンツ、リウマチによる不調、筋肉痛、不妊、痛風、精神衰弱、糖尿病そしてガンなどとされ、多岐に渡ります。(ただし、これらは科学的には証明されていません。)

このように、ムクナ豆がいつから人々に食されていたかは不明ですが、人類が歩んできた長い道のりの中で長く愛されてきた生薬といってよいでしょう。

 

 

日本の古文書から紐解くムクナ豆の記述

 

現在、日本で食べられている豆類はほとんど海外から伝わってきたものです。 実は、米の伝来より古く、縄文時代の遺跡からも豆類の原種が出土されています。

「豆」とは、言い方を替えれば植物の種です。
植物が発芽するために必要なエネルギーが豆の中に入っているから、栄養価が高く、遥か昔から人々の食料となっていたのでしょう。

では、ムクナ豆はいつから日本で食べられていたのでしょうか。

ムクナ豆とおぼしき名前は江戸時代初期の書物に初めて登場します。
「八升豆」をはじめ、「ゐんげんささげ」「黎豆」「狸豆」「虎豆」「天竺豆」「藤豆」「葛豆」などと記載されているものがムクナ豆ではないかといわれています。

しかし、国内では「ハッショウマメ」と呼ばれる豆が今も存在しています。岐阜県の飛騨・美濃伝統野菜の「千石豆」や石川県の加賀野菜の一つ「加賀つるまめ」と呼ばれる「藤豆(フジマメ、味豆、鵲豆、だら[馬鹿]豆)」も別名は「八升豆」です。
しかし、Lドーパを含むムクナ豆とは種類が全く違います。
ですから、過去の記述だけではそれらがムクナ豆を指しているのかどうかは今のところ定かではありません。

 

 

1712年、大坂の医師である寺島良安が中国の『三才図会』をもとに編集した図入りの百科事典『和漢三才図会』には、八升豆の特徴が細かに書かれています。

「煮て、黒汁をとり去り、ぶた、鶏肉と一緒に再び似て食べる。味は佳い。」

「黒汁」がキーワードです。ムクナ豆を水に浸したり、煮たりすると、黒い汁になります。この色は、ムクナ豆からLドーパという物質が浸出したものです。
ほかの豆類のほとんどはLドーパが含まれていないため、水に漬けていても黒くはなりません。

きっと、江戸時代にはムクナ豆が栽培されていたはずです。
当時の人々の食卓にムクナ豆が並んでいたことを伺わせています。

 

 

国内では再び注目が集まり、栽培が増加

 

江戸時代にはたくさん収穫され、人々の食料となっていたムクナ豆は、その生産量を徐々に減らしていきます。

減少の理由としては「大豆の方が加工しやすかったから」「調理に時間がかかるから」などが挙げられていますが、実際はよく分かっていません。
1970年代に発行された園芸の書籍にもムクナ豆は「八升豆」の名称で登場し、「栽培が減少している」と書かれています。この頃までは今以上に各地で育てられていたのではないかと考えられます。

平成に入ると、Lドーパがもたらす除草の役割(アレロパシー現象)が科学的に証明されて注目されました。また、ムクナは比較的育てやすい植物であるため、行政自治体の地域づくり、魅力発信などのために栽培が再び始まった地域もあったようです。

そして、農業を営む方、私たち八升豆本舗のような存在が増えたことも含めて、ムクナ豆はインターネット販売を中心に少しずつ流通するようになりました。

さらに、食生活学・医学・薬学・植物学など多方面の分野から、ムクナ豆へのアプローチも行われています。

今後、ますますムクナ豆の新しい可能性が拓かれていくことでしょう。

 

 

世界各国の料理で活躍するムクナ豆

 

煮る 粉砕する 発酵させる―― さまざまな活用法

 

ムクナの鞘は産毛でびっしり付いていることから、英語圏ではビロードを意味するベルベットの豆、ベルベットビーン(Velvet Bean)と呼ばれています。

ムクナ豆を栽培している国では、それぞれに特徴的な食べ方が存在しています。

まずはインドネシア。
ムクナ豆を水に浸し薄皮を取り除いて煮豆にします。また、テンペ(納豆に似た食品)のように発酵させることもあります。
中国は、肉と一緒に煮て食べていますし、インドでは、ムクナ豆を茹でてカレーに入れたり、牛乳で煮たりしているようです。
マレーシアでは、ムクナ豆を食べるのは基本的に飢饉のときのみ。何度も茹でて、薄皮は取り除くという調理法があるそうです。
アフリカ東部も少しマレーシアに似ています。豆を水に浸した後、何度も煮こぼして煮豆にします。
ナイジェリア東部では粉砕してスープに、ガーナでは粉にしてスープのとろみづけに用いている地域があるそうです。
中央アメリカ、ブラジル、ジャマイカ周辺になると、粉にしてコーヒーの代わりに飲むことがあり、現地では「ネスカフェ(Nescafe)」と呼ばれています。

 

 

幾つかの国で「何度も茹でる」という方法がとられていますが、これはムクナ豆に含まれるLドーパを取り除く調理法です。

ドーパミンが足りている人にとって、一度にLドーパが含まれるムクナ豆を大量に摂取すると下痢や嘔吐を引き起こすおそれがあるため、このような調理方法が伝わっていると考えられています。

もちろん、Lドーパを残す方法で摂取する調理法もあることから一般的な豆として利用して調理したいのかLドーパを含んだムクナ豆を民間療法的な方法で摂取するのかに分かれているようですね。

 

 

日本に伝わる調理法とは

 

煮豆が主流 味噌や練りアメも

 

では、日本ではムクナ豆をどうやって調理していたのでしょうか。

江戸時代では、主に豆を煮た汁を一度捨てた後の豆を食べていました。
「(ムクナ豆を食べると)気を益す」と記されている文書も残っていることから “元気になる豆”として知られていたようです。
あえてLドーパを残す方法で調理をしていた可能性がありますよね。

現在までに、煮豆・ムクナ豆の味噌・練りアメなどの調理法が確立されていますが、ムクナ豆がなかなか市場に出回らないこともあり、まだまだ一般的には知られていない調理法です。
ちなみに、それらの調理法はムクナ豆の粉末を摂取するよりも、Lドーパの含有量が低くなっているようです。

 

 

ムクナ豆粉末という現代のカタチ

 

ムクナ豆は、長年使われていなかった畑だとしても、気候や水などの条件が整えば比較的育ちやすい植物です。しかも、根や葉、茎からLドーパを放つことで地中や周囲の微生物、雑草を排除するため自然循環型の除草剤になります。

また、日本では高齢化社会が問題視されて長年がたちます。農業従事者も例外ではなく後継者不足や耕作放棄地の問題が年々増加しています。

先ほどもご紹介しましたが、休耕地の有効活用、世界的な健康ブームによる需要の増加などを背景に、各地でムクナ豆栽培が再び始まりました。

近年では、ドーパミン不足を補い方たち向けのために、また料理をする手間を省くために、ムクナ豆の粉末が流通するようになっています。
さらには、私ども八升豆本舗がご提供しているムクナ豆の錠剤、ムクナ豆茶など、ムクナ豆の新しいカタチが増えてきています。

 

 

ムクナ豆の栄養分とは

 

でんぷん・植物性タンパク質が多め

 

ムクナ豆はでんぷんの多い豆です。ガーナでは、ムクナ豆の粉をとろみづけに使うことがありますが、これはムクナ豆のでんぷんの糊化(こか)という性質を上手につかったもの。
片栗粉でとろみをつけるのと同じ原理です。
ちなみに、ムクナ豆に限らず豆類のでんぷんは、体内でゆっくりと消化吸収されるため、糖質や脂質の代謝にいい効果をもたらします。

また、小豆やインゲン豆などに比べて、タンパク質や脂質が多いのも特徴です。
タンパク質や脂質は、ヒトの生命維持や身体活動に欠かせない栄養素です。
特にタンパク質は血液中の赤血球やヘモグロビンの材料となります。

タンパク質には、「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」に分けられます。この両方をバランスよく摂取することが健康的な体づくりに必要不可欠です。
植物性タンパク質を心がけて食べた場合、がん死亡や循環器系疾患の死亡率のリスクが大幅に下がることが研究で明らかになっています。
ムクナ豆に脂質が多い理由ですが、種子が発芽するためのエネルギーをほかの豆より多く蓄えているからだと考えられます。

命の強さが感じられる豆なのだと感じますね。

 

 

Lドーパだけではないムクナ豆の必須アミノ酸のパワー

 

タンパク質は20種類のアミノ酸3〜数万個、複雑につながって構成されています。
また、タンパク質は「体内で合成できるもの(アミノ酸または非必須アミノ酸)」と「食事で摂取するしかないもの(必須アミノ酸)」に分けられます。アミノ酸の種類によって機能が異なります。

驚くべきことに、ムクナ豆には9つある必須アミノ酸の全部が含まれています。その中でも、BCAA(Branched Chain Amino Acid 分岐鎖アミノ酸)が重要です。
BCAAとは、バリン、イソロイシン、ロイシンの3つのアミノ酸の総称です。
必須アミノ酸BCAAは継続して摂取すると疲労回復や筋肉痛が軽減できるとされています。特にスポーツ選手のコンディショニングに役立つと考えられている栄養素です。

 

 
    必須アミノ酸                主な働き                不足すると
バリン ・成長に関わる
・血液中の酸素のバランスを整える
・肝機能向上
・食欲低下
・栄養不足
イソロイシン ・成長促進
・神経機能の補助
・血管拡張
・肝機能向上
・筋肉がつくれない
ロイシン ・肝機能向上
・肝細胞の正常化
・血糖のバランスの適正化
・タンパク質生成の促進
・筋タンパク質の維持
・筋肉グリコーゲン合成
・酵素活性促進
・筋肉維持ができない
メチオニン ・体内で最初にタンパク質を作る
・薬物中毒の解毒
・肝機能の改善
・脂肪をエネルギーに変える物質の生合成
・タンパク質合成が出来ない
リジン ・成長に関与
・身体組織の修復
・肝機能向上
・脂肪燃焼低下
・慢性疲労
・視覚障害
・貧血
フェニルアラニン ・ドーパミンの材料
・血圧の上昇
・鎮痛作用
・ノルアドレナリンの材料
・記憶力低下
・気分の落ち込み
トリプトファン ・セロトニンの材料
・メラトニンの材料
・コレステロールのコントロール
・血圧のコントロール
・不眠症
・睡眠の質の低下
・炭水化物渇望
・不安がち
スレオニン ・成長促進
・脂肪肝抑制
・貧血
・成長障害
ヒスチジン ・成長に関与
・ヘモグロビン、白血球の生産に関与
・貧血になる恐れ


 

ヒトが適度な運動を楽しめるのもこのような仕組みが関係しているのです。

また、必須アミノ酸は桶のような仕組みで例えられることがあります。
どれか1つでも不足していると、その不足しているところまでしか体の中で働くことができないために、ほかのアミノ酸が全部無駄になってしまいます。

ここで、ムクナ豆に含まれている必須アミノ酸とその働きについてご紹介します。

加えて、ムクナ豆に含まれるLチロシン(非必須アミノ酸の一つ)も大切です。

チロシンはフェニルアラニンからつくられ、ドーパミン、ノルアドレナリン、甲状腺ホルモンなどの原料になります。
非必須アミノ酸ではあるものの、チロシンを摂取することは必須アミノ酸であるフェニルアラニンの節約になります。

ドーパミンに関係するアミノ酸が含まれていることも特徴といえます。

ムクナ豆は、天然のLドーパに加え、チロシン(非必須アミノ酸の一つ)とフェニルアラニン(必須アミノ酸の一つ)という3つの要素が合わさった食材なのです。

 

 

実は鉄分も高含有 女性の味方

 

鉄分の多い食材といえばレバーが代表的ですが、豆類も鉄分が多く含まれています。

鉄分は赤血球の中のヘモグロビンに必要な成分で、鉄分が不足すると「鉄欠乏性貧血」を引き起こします。偏食、妊娠、成長期、月経、婦人科疾患などをきっかけに起こりやすく、女性のライフステージを通じて深く関係がある疾患です。

鉄分は2種類に分けられ、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と豆類,緑黄色野菜,海藻類に含まれる「非ヘム鉄」があります。
ヘム鉄の方か吸収率が高く、非ヘム鉄は同時に摂取する栄養素によっては吸収率が高まります。

ムクナ豆などの豆類の非ヘム鉄の吸収率を上げたいのであれば、肉や魚などの動物性タンパク質やビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取するとよいでしょう。

胃酸によっても吸収が促進されるので、食べるときはゆっくりかむことも大切です。

逆に、食事中や食後のコーヒー、紅茶、緑茶の大量摂取は鉄の吸収が低下してしまうので、避けることをおすすめします。

 

 

なんといってもLドーパが断トツに多い食材

 

体内でドーパミンを増やし、やる気のある状態を保つ

 

ムクナ豆の最も素晴らしい特徴は「Lドーパ」をたくさん含んでいることです。
これは、先ほどお伝えした必須アミノ酸が合成するドーパミンとは異なるものです。

そら豆やそら豆苗にもLドーパは含まれていますが、ムクナ豆にはかないません。
ムクナ豆のこの特徴は他の植物にはあまり見られない傾向です。

豆のみならず、ムクナの葉、茎、根に至るまでLドーパは含まれています。
ただし、豆以外は食への安全性が確認されていないのが現状です。

Lドーパは脳内でドーパミンという物質に変化し、体内で減少しているドーパミンを補うという素晴らしい作用があります。
ドーパミンはやる気を向上させる神経伝達物質で、私たちになくてはならない存在です。

ヒトの体内でもLドーパは作られていますが、必須アミノ酸であるLチロシンから合成されLドーパになり、その後さらにドーパミンに変化するという複雑な仕組みからなります。
この一連の流れが何らかの原因でドーパミンが減ってしまうことで、パーキンソン病などを引き起こします。

また、Lドーパは、血液から脳への物質の意向を制限する血液脳関門を通ることができます。
血液脳関門は薬を脳内に入り込ませない仕組みのこと。脳を有害物質から守るために必要な作用ですが、脳の薬物療法にとっては障害となっています。
そのバリアーをLドーパはくぐり抜けることができ、脳に直接届きます。
ですから、Lドーパはパーキンソン病の治療薬としても用いられているのです。

 

 

実は活性酸素を抑える“抗酸化作用”も

 

年齢とともに活性酸素が増加 サビていく体

 

健康ブームをきっかけに、テレビや雑誌などで“抗酸化作用”という言葉をよく耳にするようになりました。
抗酸化作用とは、老化などの原因となる活性酸素を抑える作用を指します。

この活性酸素、元々は酸素です。私たちの体は酸素がなくては生きていけませんが、その反面、体内の酸素の一部が酸化させてしまいます。
それが活性酸素と呼ばれ、病原菌などから体を守る役割を担う一方、体の老化や血管の老化、シミやシワ、肌荒れなどを起こし、生活習慣病やがんの引き金になるのではないかと考えられています。

さらに、活性酸素が体内で誘発される仕組みとしては、大気汚染、紫外線、放射能などが関係しています。私たちの日常生活においての飲酒や喫煙、添加物が含まれる食品、加えて激しい運動、ストレスなどさまざまな要因が引き金となります。

通常、体内では、活性酸素を無毒化する抗酸化が働いていますが、残念ながら年齢とともに低下します。そして、活性酸素が体内にたまり、鉄がサビていくように体の細胞を傷つけていくのです。

人は誰しも、実際の年齢より若く見られたい、長生きしたいと願うものです。
そのためには、抗酸化作用を含む食物の摂取を心がけることが非常に大切になってきます。

 

 

ムクナ豆の知られざる抗酸化作用

 

ムクナ豆といえばLドーパ(ドーパミンの素になる物質)が多いというイメージが先行しがちですが、実は抗酸化物質も含まれています。

その中でも、豆類には抗酸化物質の1つであるポリフェノール(苦みや色素の成分)が多いといわれています。

ポリフェノールは、残念ながらどんなメカニズムなのかは分からない部分が多いのですが、ムクナ豆にもポリフェノールは含まれています。

このポリフェノール、植物が紫外線や乾燥、害虫、塩分、周囲に生息する菌などから身を守るために、植物自体の光合成によって生成されます。

ポリフェノールは自然界に5,000種類以上あるとされ、代表的なものはブドウの紫色の部分のアントシアニン、お茶のカテキン、大豆に含まれるイソフラボンなどです。イソフラボンなどはどこかで皆さんは聞いたことがあるのではないでしょうか。

イソフラボンは大豆を含む豆類に多く、女性ホルモンのエストロゲンに構造が似ているため、エストロゲンと似たような働きをします。

エストロゲンとは、髪や肌のうるおいを守り、脳や自律神経に働きかけ、女性の健康に大きく関与しているホルモンです。

さらに、豆類は加熱してもポリフェノールの低下がなく、私たちが摂取すると効率よく体内に入っていくといわれています。

 

 

Lドーパ製剤とムクナ豆のLドーパについて

 

映画『レナードの朝』から 考察1

 

ところで、皆さんはアメリカの映画『レナードの朝』(1991年日本公開)をご存じでしょうか。

ノンフィクションを基に構成されたこの物語は、神経科医セイヤーをロビン・ウィリアムズ、慢性神経症病棟に入院し、30年間目を覚まさない患者レナードをロバート・デ・ニーロが演じました。
第63回アカデミー賞において作品賞、主演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)、脚色賞の3部門でノミネートされた名作です。

物語の重要なキーワードとして出てくるのが、パーキンソン病と当時の新薬“Lドーパ”。

医師セイヤーは患者レナードの症状はパーキンソン病であると確信し、Lドーパ製剤を投与します。驚くことに、レナードは30年ぶりに目を覚まし、奇跡的な回復を遂げることができるのです。
レナードはさまざまな体験によって生きる素晴しさを知りますが、薬の効果が薄れ始め、徐々に薬を飲む前の状態に戻り——。

 

 

パーキンソン病などの治療法の一つとしてL−ドーパ製剤が用いられていることは、先ほどお伝えしたとおりです。

しかし、Lドーパ製剤を何年間も服用し続けていると、副作用ともいうべき現象が起こる場合があります。飲んで数時間たつと薬の効果が弱まってくるように感じるのです。
そのため、薬の効果が出すぎたり、効果が薄れたりする時間帯があらわれてしまいます。

例えば、身体症状で現れるのは、姿勢が前かがみになる、震えが起こるなどが挙げられます。気分的にも前向きになれず、残念ながら治療前の状態に戻ってしまいます。
これは医学用語で「ウェアリング・オフ現象」呼ばれ、パーキンソン病が進行すると血液中に取り込まれたLドーパの濃度の上昇と減少が急激に起こりやすくなるために起こります。

以前は、Lドーパ製剤を飲み始める時期が早いと、ウェアリング・オフが早く出現すると考えられてましたが、最近の研究ではパーキンソン病事態の進行が原因であることが分かってきています。

 

 

映画『レナードの朝』から 考察2

 

『レナードの朝』に登場する患者レナードも、Lドーパ製剤の効果が短くなり、次の薬を飲む前に症状が起きる「ウェアリング・オフ現象」が起きてしまいました。

映画のストーリーは何かと誇張されている部分が多い印象ですが、原作はレナードを含めた20人の患者の病態、Lドーパ製剤を投与した後の症状の変化などを記録した描写が多く、医学的にも大変興味深い内容です。

ただ、ムクナ豆に含まれるLドーパは映画で登場した薬ではなく天然素材です。ムクナ豆のLドーパは血中に速やかに取り込まれた後、効果が穏やかに減っていく特徴があるといわれています。また、Lドーパ製剤に比べて、効果が長年続くのではないかと考えられています。

実際、ムクナ豆に含まれるLドーパは副作用が少ないという報告もあります。

天然の産物であるムクナ豆だからこそ、体に優しい効果があらわれているのでしょう。

 

 

ムクナ豆が世界の食糧不足に立ち向かう

 

世界的な人口爆発によるタンパク質危機

 

国連が2019年に発表した『世界人口推計2019年版』によると、わずか十数年のうちに、現在の77億人から約85億人に増えると予測されています。
さらに2050年になると100億人に達成する見込みです。

日本のように人口が減少している国もありますが、急激な人口増加を起こしている国が多く、特に人口増加が起きている国はインド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア連合共和国、インドネシア、エジプト、米国の9カ国です。
世界は人口爆発となります。

世界の食糧事情もひっ迫しています。

食糧の需要が増えたことでの価格の上昇、欧米化や肉食化が進む食生活の変化による動物性タンパク質の世界的な不足が問題となっています。 併せて、農作物においても、高齢化による農業人口の不足、化学肥料の使用による土壌の劣化、世界的な気候の不安定化など、問題は山積みです。

現在の農業や畜産業の在り方のままでいくと、早ければ2030年頃には需要と供給のバランスが崩れ始めると予測されていて、この予測は「タンパク質危機」といわれます。

さらに、2050年には人口の半分、つまり50億人が食糧不足に陥ると予測する学者もいま

 

 

未来の食糧資源としての期待も

 

一方、各国も生産量を上げるための努力を行っています。
農業においては、人工知能を活用したスマート農業の展開、植物工場の開発などの技術も進化し続けています。

また、タンパク質危機にならないために、大豆などの植物性原料を使い肉の味や食感を再現した代替肉(ソイミート、大豆肉、フェイクミート)も広がりをみせています。

そこで、ムクナ豆の登場です。
ムクナ豆は栄養が豊富であること、どんな土地でも育ちやすいこと、収穫量が比較的多いことなどから、将来の人口増による食糧問題を解決するために栽培をしている国もあります。

また、元々亜熱帯の植物であることから、温暖化の影響を受けにくいとされています。

“救世主”とまではいかないでしょうが、これらの特性を考えるとムクナ豆の存在を見逃すのはもったいない話です。

ムクナ豆は今後、私たちが抱えるさまざまな問題をクリアする可能性が高く、利用価値も高いことから、未来の食糧資源としても期待されます。


 

※ 薬を服用されている方は、医師にご相談の上、ムクナ豆をお召し上がりください。
※ アレルギー体質の方には発疹やかゆみ等、過敏な反応が現れる場合があります。その場合は摂取を中止し、速やかに医師にご相談ください。
※ 妊娠中、授乳中または妊娠の可能性のある方、小児の方は摂取をお控えください
 

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